お知らせ最終更新日:2022.10.03
経済学部特別講演会を実施
2022年9月26日(月)、経済学部では「経済統計学Ⅱ」(担当教員:鈴木雄大准教授)の履修者を中心とした本学学生を対象に、特別講演会を実施しました。富山中央法律事務所の西山貞義弁護士を講師にお招きし、「政策判断・経営判断の「基礎」「経済統計」の重要性~きわめて不正確、恣意的な「生活扶助相当CPI」を題材に~」というテーマでご講演いただきました。「生活保護基準引下げ違憲訴訟」に関わる弁護士という立場から、「生活扶助相当CPI」を題材にして、経済統計が正確に、客観的に作成されなければならないことの重要性についてお話いただきました。
講演ではまず、ホームレスの方等の支援をしてきた経験を交えながら生活保護制度の価値について解説いただきました。題材である「生活扶助相当CPI」は、厚生労働省が専門家の意見を聴くことなく独自に作成した指標です。厚生労働省は、この指標を根拠として生活保護基準を引下げました。生活保護基準引下げ違憲訴訟は、生活保護基準引下げの取消しを求めて全国29都道府県で争われている裁判で、札幌でも現在、高裁で争われています。
また、「生活扶助相当CPI」の多くの問題点のうち、生活保護世帯を対象とした制度であるにもかかわらず、「生活保護世帯の生活実態」を全く考慮していない点が詳しく解説されました。西山先生は厚生労働省によるこの独自指標を「全く、「正確」でもなければ、「客観的」でもなかった」と強く主張されました。
さらに、北海道での取組みとして、道生連(北海道生活と健康を守る連合会)の細川氏、札幌における同裁判の原告副団長の吉田氏からもお話をいただきました。
学生は、普段あまり接することのない、生活保護の問題や統計と裁判との関係についての講演を興味深く聞いていました。
講師の西山貞義氏(富山中央法律事務所、生活保護基準引下げ違憲訴訟富山弁護団事務局長)
北海道生活と健康を守る連合会、細川久美子氏
左から、講師の西山貞義弁護士、細川久美子氏(道生連副会長)、吉田弦一氏(新人間裁判原告副団長)、西博和弁護士(西博和法律事務所、生活保護基準引下げ違憲訴訟札幌弁護団)
左から、鈴木雄大准教授、西山貞義弁護士、細川久美子氏、吉田弦一氏