学長メッセージMessage from the President

Catch The World,
Catch The Future

(世界をつかめ、未来をつかめ)

学長 安酸 敏眞
(やすかた としまさ)

わが北海学園大学は地下鉄に直結しており、アクセスの良さでは日本一といっても過言ではありません。ところで、最寄りの「学園前」駅の階段の頭上の壁には、「北海学園」の文字の両横に人の手と地球の絵が描かれ、その上に"Catch The World, Catch The Future"と記されているのをご存知でしょうか。これは本学の第二のスクール・モットーとも呼べるもので、グローバル化の時代に相応しいキャッチワードです。

北海学園大学は「開拓者精神」を建学の精神として掲げています。それは母体の学校法人「北海学園」が、1885(明治18)年、北海道開拓のための人材育成に寄与しようとして設立された「北海英語学校」に遡るからです。「開拓者精神」はアメリカ合衆国の西部開拓を支えた「フロンティア・スピリット」と重なり合います。ある学者は「フロンティア・スピリット」のメルクマールとして、「独立独行」「平等主義」「直接行動」「地方主義」「じっとしておれないこと」「伝統との断絶」「将来への信仰」を挙げていますが、わけても「独立独行」(self-reliance)は現代にいたるまでアメリカ人気質の中心にあるものです。

さて、「開拓者精神」はしばしば二つの「じりつ」――「自立」と「自律」――によって言い換えられます。「自立/自律」は「独立独行」とほぼ同義ですが、上記の"Catch The World, Catch The Future"は上記の「将来への信仰」(faith in the future)に包摂されるでしょう。「世界」も「将来」も今はまだ手が届かなくても、やがてそれをつかむために現在(いま)を頑張るのです。その意味において、大学の四年間はまさに将来のための土台作りの期間なのです。

大学での勉学は、高校までの学びとは本質的に異なります。高校までの「学校」では、出来合いの知識の学習と伝授を主眼としていますが、「大学」では高学年になるにつれて、未解決の問題を対象として研究に励みます。大学のカリキュラムに「演習」があるのはそのためです。演習は「ゼミナール」(seminar)とも呼ばれますが、その語源はラテン語のseminariumです。これは「種子」「苗」を意味するsemenの派生語で、もとの意味は「苗床」です。この言葉が暗示しているように、大学の授業では感受性豊かな学生の心に真理の種を蒔き、あるいは知識の苗を植え付けて、やがて学生が自分でものを考え、自分の力で問題を解決できるように指導します。

「自立的思考」(Selbstdenken; independent thinking)の涵養こそは、まさに大学教育の中心課題です。グローバル化の時代には、とりわけ「地球規模で考えること」が不可欠です。将来の日本を担う有為な人材を目指す人は、"Catch The World, Catch The Future"を掲げる本学で、真のグローバル思考を身に付けて欲しいと願っています。

副学長

総務担当  魚住 純(工学部教授)

1981年北海道大学大学院工学研究科電子工学専攻博士後期課程修了、1999年本学教授、
2006年入試部長、2018年工学部長

教学担当  鈴木 美佐子(法学部教授)

1992年お茶の水女子大学大学院人間文化研究科比較文化学専攻博士課程単位修得退学、
1998年本学助教授、2005年本学教授、2016年学生部長